<歴史>
 
鹿児島市関東交友会は、平成6年6月2日に関東地方に在住する鹿児島市の出身者並びに鹿児島市内の諸学校の卒業生及び鹿児島市に関係の深い者で入会を希望する者で結成されました。
 
 <概要>
会  長:重信 眞一
幹 事  長: 奥田 武彦
事務局長:小園 洋平
会 員 数 :約150名
事 務 局 : 〒171-0022  東京都豊島区南池袋2-29-10  金井ビル9階
      (株)YCグーループ内   TEL:03-5927-9558     
 
 

 
<会長挨拶>
 
当会のホームページへのご来訪ありがとうございます!
令和5年にあたる今年は、7月15日(土)に都内で鹿児島市関東交友会第30回通常総会及び懇親会を開催いたします。また秋には昨年に続き鹿児島市内で第9回「薩摩から日本を変えよう~」を開催いたします。
今回のシンポジウムも『スポーツで薩摩とココロを元気に』と銘打ち講演を企画中です。詳細が決まり次第にご案内いたします。

皆様もご存じのように鹿児島では幕末から明治にかけ多くの優れた人材を輩出してまいりまし た。その背景には「郷中教育」 「日新公いろは歌」から受け継がれた薩摩特有の教育制度があり、 優秀な人材育成に大きな役割を果たしてきました。
薩摩の先人たちは皆高潔であり、世の為人の為に尽くす熱意をもち日本の為に働いてきました。

「鹿児島市関東交友会」はそんな先人たちの教えと情熱を次世代に継承し「薩摩から日本人の誇 りを取り戻そう」をスローガンに、鹿児島市の発展に貢献することを目的として活動をしており ます。

平成24年2月5日、東京青山にて「薩摩から日本を変えよう」というテーマでパネルディス カッションを開催し、その成功を受け翌年より地元・鹿児島にてシンポジウムを開催してまいり ました。

これからの日本の未来に、薩摩の歴史や伝統を通じて人としての生き方や日本人としての在り方 を発信して行こうではありませんか。

 
<鹿児島市関東交友会 会則>

第1章 総 則
(名 称)
第1条 本会は鹿児島市関東交友会(以下「本会」という)と称する。
(事務所)
第2条 本会は事務所を首都圏内に置く。
(目 的)
第3条 本会は会員相互の親睦とその福利増進を図るとともに、郷土・鹿児島の 
            良き伝統と文化を次世代 に継承していくために、郷土ひいては国にとっ
            て前途有為な青少年の育成を図り、併せて鹿児島 市の発展に貢献するこ
            とを目的とする。
(事 業)
第4条 本会は前条の目的を達成するために次の事業を行う。
          (1) 会員の親睦とその福利増進を図る事業
          (2) 親睦会、展覧会、講演会、研修会、同好会及びその他必要な会合を
                開 催し、会員相互間及 び郷土と連帯する事業
          (3) 鹿児島市及び会員の青少年の育成を図る事業
          (4) 老人と身障者の福祉を助成する事業
          (5)「渋谷・鹿児島おはら祭」の振興を図る事業
          (6) その他前条の目的を達成するために必要な事業

第2章 会 員
(会員の構成)
第5条 本会を構成する会員は次の通りとする。
             関東地方に在住する鹿児島市の出身者並びに鹿児島市内の諸学校の卒
             業 生及び鹿児島市に関係の 深い者で入会を希望する者
(会 費)
第6条 本会は役員会の決議を経て、会費を徴収することができる。
(会員資格の得喪)
第7条 会員の入会の許諾は、役員会においてこれを決する。
      2  会員が本会の目的に反し、または本会の名誉を傷つける行為があった
            と きは役員会の決議を経て、 除名することができる。

第3章 役 員
(役員の種別及び員数)
第8条 本会に次の役員を置く。
    (1)会  長  1名
    (2)副 会  長 若干名
    (3)幹 事  長  1名
    (4)副幹事長 若干名
    (5)幹  事 若干名
    (6)事務局長  1名
    (7)監  事  2名
(役員の選任)
第9条  会長、副会長、幹事長及び監事は運営委員会の審議を経て、役員会で選
            任し、総会の承認を得る。
     2  副幹事長は幹事長の推薦により会長が任命する。

     3  幹事は会員の中から役員2名以上の推薦により運営委員会の審議を経
             て、会長が任命する。
             第8条の第5号及び第7号を除く役員の就任の時の年齢は、原則として満
             7 5歳未満とする。
(役員の職務権限)
第10条 会長は本会を代表し、会務を統括する。
        2 副会長は会長を補佐し、会長に事故があるときはその職務を代行す
             る。
        3 幹事長は会長、副会長を補佐し、会務を掌理する。
        4 副幹事長は幹事長を補佐して会務の遂行に当たり、幹事長に事故があ
             る時はその職務を代行する。
        5 幹事は運営委員会を構成する。
        6 監事は本会の財産及び会計の状況並びに役員の職務執行の状況を監査
            する。
(任 期)
第11条 役員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。
        2 補欠または増員により選任された役員の任期は、前任者または現任者
             の任期の残存期間とする。
        3 役員は辞任または任期満了においても、後任者が就任するまではその
             職務を行う。
(解 任)
第12条 役員が役員としてふさわしくない行為があったとき、またはやむを得な
             い事情のため職務の執行 に堪えられないと認められたときは、役員会
              の決議によりこれを解任することができる。
      2   前項の規定にかかわらず総会において選任された役員の解任について
             は、総会の承認を得るもの とする。
(名誉会長、名誉顧問等)
第13条 本会に名誉会長1名、名誉顧問、特別顧問、顧問、参与各若干名を置く
             ことができる。
      2   前項の役員は役員会の推薦により会長が委嘱する。
      3   名誉会長、名誉顧問、特別顧問、顧問及び参与は会長の諮問に応え、
             助言を行う。

第4章 会 議
(会議の種別)
第14条 会議は、総会、役員会及び運営委員会とする。
(総 会)
第15条 通常総会は毎年1回開催し、臨時総会は必要に応じて開催する。
       2  総会は役員会の決議に基づき会長が招集し、その議長となる。
       3  総会の決議は別に定めるもののほか、出席者の過半数をもって決す
             る。
       4  総会は別に定めるもののほか、次の事項を決議する。
            (1)事業計画及び収支予算に関する事項
            (2)事業報告及び収支決算に関する事項
            (3)会則の変更に関する事項
            (4)重要な財産の得喪に関する事項
            (5)その他の重要事項
(役員会)
第16条 役員会は必要に応じて会長が招集し、その議長となる。
     2    役員会は会長、副会長、幹事長、副幹事長及び事務局長をもって構成
             する。
     3    役員会の決議は別に定めるもののほか、出席者の過半数をもって決す
             る。
     4    役員会は別に定めるもののほか、次の事項を決議する。
             (1)総会の決議した事項の執行に関する事項
             (2)総会に付議すべき事項
             (3)その他総会の決議を要しない会務の執行に関する事項
     5     監事は役員会に出席できる。
(運営委員会)
第17条  運営委員会は、会長、副会長、幹事長、副幹事長、幹事、監事、事務
              局長及び各委員会委員長を もって構成する。
     2     運営委員会は、必要に応じて会長が招集し、その議長となる。 
     3     運営委員会は会長の諮問に応え、本会運営上の重要事項について審議
              し、意見を具申する。

第5章  事務局
(事務局)
第18条 本会の事務を処理するため、事務局を設置する。
     2    事務局に事務局長1名、事務局長補佐若干名及び所要の事務職員を置
             く。
     3    事務局長及び事務局長補佐は役員会の推薦により会長が任命する。
     4    事務局の運営に関する規定及び職員に関する規定は役員会の決議を経
             て別 に定める。

第6章  事業委員会
(委員会)
第19条 本会は事業遂行のため、次の委員会を設置する。
             (1)組織企画・交流委員会
             (2)財務委員会
             (3)広報委員会
             (4)青年委員会
             (5)おはら委員会
      2   委員長は役員会の決議を経て、委員会に必要な部会を設けることがで
             きる。
      3   委員会の運営に関する規定は役員会の決議を経て別に定める。
(委員の任命等)
第20条 委員長は幹事の中から役員会の推薦により会長が任命する。
     2    委員長は幹事長を補佐して委員会の運営に当たる。
     3    副委員長、部会長、副部会長及び委員は委員長が幹事長の承認を得て
             指名する。

第7章 会 計
(会計年度)
第21条 本会の会計年度は毎年7月1日に始まり翌年の6月30日に終わる。

第8章 会則の変更及び解散
(会則の変更)
第22条 本会の会則の変更は、役員会において出席者の4分の3以上による決議
             を経て、総会において出 席者の過半数による決議を経なければならな
             い。
(解散及び財産の処分)
第23条 本会の解散及び財産の処分は、役員会において出席者の4分の3以上に
             よる決議を経て、総会に おいて出席者の過半数による決議を経なけれ
             ばならない。

第9章 雑 則
(細 則)
第24条 この会則に定めるもののほか、本会の運営に必要な細目は、役員会の決
             議を経て別に定める。
(附 則)
   1.   平成  6年   6月  2日  制定・施行
         2.   平成  9年   7月  4日  一部改正・施行
         3. 平成10年   6月23日  一部改正・施行
         4. 平成12年   2月  3日  一部改正・施行
         5.   平成17年   8月31日   一部改正・施行
         6.   平成18年 10月24日   一部改正・施行
         7.   平成19年   1月28日   一部改正・施行
         8.   平成19年   7月28日   一部改正・施行
         9.   平成23年   7月25日   一部改正・施行
        10.  平成27年   7月25日   一部改正・施行     
 
 
 
<日新公いろは歌>

い いにしへの道を聞きでも唱へても わが行いにせずばかひなし
       古来から言われてきたどんな素晴らしい道も、自分で実践して行わなければ
       何にもならない。

ろ 撥の上もはにふの小屋も 住む人の 心にこそはたかきいやしき
        どんなに立派な御殿に住んでいる人も、頂末な小屋に住んでいる人もそのこ
      とだけでは人間の価値は判断できない。要は住んでいる人の心の気高さが
      重要  なのだ。

は はかなくも明日のをたのむかな 今日も今日もと学びをばせで
        人間、明日のことは予測がつかない。勉学修養を明日にしよう明日にしよう
       と引き延ばし、もし明日自分が死んだらどうするのか。今その時その時に
       全 力投球せよ。

に 似たるこそ友としよけれ交らば われにます人おとなしさ大
      人は得てして、自分と実力が同等の人と仲良くなるがそれではそれ以上の進
      歩は望めない。自分より資質の上であると感じる人とつきあうことで己の腕
      を磨くべし。

ほ ほとけ神他にましまさず 人よりも 心に恥ぢよ天地よく知る
    人が悪いことをすれば、神仏は他の所にいるのではなく、まさしく自分の中
  に存在しているのであるから何でもお見通しである。まずそのような悪いこ
  とをした自分自身の恥を知りなさい。

へ 下手ぞとで我とゆるすな稽古だに つもらぱちりも山と言の葉
   下手だと思っても稽古をやめてはいけない。ちりも積もれば山となると昔か
   らいうではないか。継続に勝るものはないのだ。

と 科ありて人を斬るとも軽くすな いかす刀もただ一つなり
      重大なミスを犯し 者であっても簡単に裁いてはいけない。その人を活かす
  も殺すもトップの心一つである。適材適所の配置を心がけよ。

ち 知恵能は身につきぬれど荷にならず 人はおもんじはづるものなり
  知識、学問、 技術になどは身についても決して重荷にはならないから大いに
  身につけるべき である。かえって人はその人を重用し、それがない人は己に
  恥じることになる。
 
り 理も法も立たぬ世ぞとで ひさやすき 心の駒の行くにまかすな
  道理も法も乱れた世の中だと言って、心の許すまま安易な方へかたむき、勝
  手わがままに過ごしてはいけない。こんな時こそ気を引き締めて廻りを固め
  る努力をすべきである。

ぬ ぬす人はよそより入ると思うかや 耳目の門に戸ざしよくせよ 
  盗賊はよそから来ると思いがちだが、本当に怖い盗人は己の耳や目から入り
  込んでくる様々な誘惑、謹言である。このことで人の心は乱れ揺れ動き、盗
  まれるのである。戸締りは自分の耳、目にするべし。

る 流通すと貴人や君が物語り はじめて聞ける顔もちそよき
  たとえ自分の知っている話を目上の人が話しても、初めて聞いたような顔を
  することが、その人に対する礼儀である。

を 小串のわが悪業にひかれてや つとむる道をうしと見るらん
  人はつい、己の怠け心にずるずると引っ張られがちで、やがては自分の勤め
  る 仕事もつらくなり悪い癖となって下落していく。

わ 私を捨てて君にし向はねは うらみも起り述懐もあり
  私心を捨て物事にぶつからないと、何かの時にうらみや不平不満が起こるも
  のである。

か 学問はあしたの潮のひるまにも なみのよるこそなは静かなれ
  学問は昼夜取り組むべきだが、特に夜は静かで勉強しやすい。夜遊びなどし
  て無駄な時間を過ごすのではなく、しっかり勉強するべし。

よ 書きあしき人の上にて身を磨け 友はかがみとなるものぞかし
  書きにつけ悪しきにつけ他人の姿をよく見て自分を磨け。特に友達は自分の
  鏡となるものである。

た 種となる心の水にまかせずは 道より外に名も流れまじ
  煩悩の心を水の流れに任せるようなことさえしなければ、道を外した風評な
  どは流れないはずだ。

れ 礼するは人にするかは人をまた さぐるは人をさぐるものかは
  礼は他人に対して尽くすものだろうか、いやそうではない。また他人を軽蔑
  することはただ単にその人を見下げるということであろうか、これもそうで
    はない。すべて己にかえってくることなのである。
 
そ そしるにもふたつあるべし大方は 主人のためになるものと知れ
      人を譲るにも二通りの場合がある。ただ単にうらみや不平で言う場合と、そ
      の人のためを思って真心を持って言う場合である。受ける側は冷静に判断
      し、 広く耳を傾け自分に落ち度がないかを見極める器の広さが必要である。

つ つらしとで恨みかへすな 我れ人に 報ひ報ひてはてしなさ世ぞ
      自分がどんなにつらい仕打ちを受けても、決してそれに仕返しをするような
      こと倒真まなければならない。次から次へと際限なく続くこととなり、決し
      て良いことではない。人を許す気持ちを持つことこそ必要である。

ね ねがはずは隔てもあらじ いつはりの 世にまことある伊勢の袖垣
      天は全てお見通しである。誠を持って物事に対処すれば、それ相応の人生を
      歩むことができ、不正を持って物事に対処すれば地に落ちるがごとき人生を
      歩むこととなる。たとえ人は欺けても、天は公平に人を見ている。

な 名を今に残しおきける人も人 心も心 何かおとらん
      後世に名を残した人も、我々と同じ人間である。心だって同じであるわけ
      で、 決して卑下することはない。

ら 楽も苦も時すぎぬれば跡もなし 世に残る名をただ思ふべし
      楽しいことも苦しいことも時間がたてば何も残らない。人たるものは後に名
        が残るような人生を送るべきだ。

む 昔より連ならずしておごる身の 天のせめにしあはざるはなし
      昔から道をはずして悪い行いをする人は、必ず天罰に遭わない者はいない。

う 憂かりける今の身こそは先の世と おもへばいまぞ後の世ならん
      混沌としたこの世は、前世の悪行の報いであると思えば、今の世で成すべき
      己の身の振り様は後の世にどう反映されるか分かるであろう。一度しかない
     人生を無為に過ごしてはならない。

ゐ 亥にふして寅には起くとゆふ露の 身をいたづらにあらせじがため
      夜十時に寝て朝四時に起きるとよくいうが、これは限られた人間の寿命を一
       刻たりとも無駄にしないための戒めである。
 
の のがるまじ所をかねて思ひきれ 時に至りで涼しかるべし
      窮地に追い込まれ、どうしても逃れることのできない場合、命を捨てる覚悟
      を決めておくがよい。いざというときに涼風のごとき澄んだ気持ちで事に対
      処できよう。

お 恩はへず遥ふものなり 身の上の 欲をはなれて義を守れひと
      思わずも道をはずす時がある。己の私心があるからである。一切の欲を捨
      て、 義を貫くことが肝要である。

く 苦しくとすぐ道を行け 九曲折の 末は鞍馬のさかさまの世ぞ
      たとえどんなに苦しくとも正道を進みなさい。もし、うねり曲がった道を歩
      めば、その末にはどん底に落ちてゆく。

や やはらぐと怒るをいはば弓と筆 鳥にふたつのつばさとを知れ
      穏やかになることと怒ることは行って見れば弓(武道)と筆(学問)のような
      ものである。鳥は二つの翼があってようやく空を飛べるように、人間もこの
      二 つのうちどちらあが欠けても役に立たない。

ま 万髄も一心とあり事ふるに 身はし頼むな思案堪忍
      いかにいろいろな才知芸能に秀でていても、その人の心が悪ければ何の役に
      も立たない。人に仕える時、自分の才能をひけらかして自慢してはいけな
       い。

け 賢不肖もちひ捨つると言ふ人も 必ずならば殊勝なるべし
      賢い者を用い、愚かな者を切り捨てることが言葉通りキチッとできるなら
      ば、 これほど感心なことはあるまい。

ふ 無勢とて轍をあなどることなかれ 多勢を見ても恐るべからず
      少数の敵だからといってあなどってはいけない。また、多勢の敵だからと言
      っ ていたずらに恐れる必要はない。冷静沈着に事に対処すべし。

こ 心こそ軍する身の命なれ そろゆれば生き揃はねば死す
      心こそは戦をするものの命である。自分たちの気持ちが一つにまとまってい
      れば生きることができ、そろっていなければ死を招く。

え 回向には我と人とを隔つなよ 看経はよし してもせずとも
      死者を弔うことは敵味方を区別してはならない。読経するしないにかかわら
        ず、手厚く葬るべし。
 
て 敵となる人こそはわが師匠ぞと おもひかへしで 身をもたしなめ
      自分にとって敵となる人こそわが師匠と思いなさい。思いなおして冷静に観
      察すれば、必ずや自分の足りないところが鏡に浮かび上がるように見えてく
      るだろう。

あ あきらけき日も呉竹のこの世より 迷はばいかに後のやみぢは
  明らかなるこの世でさえ目がくらんでいたら、死んだ後の行く末は、あの世
  でどうなることであろう。

さ 酒も水 流れも酒となるぞかし ただ情あれ君がことの葉
  昔、中国の越王勾践は呉を討つ時、もらった酒が少なく、また、自分一人で
  飲むことがしのびなかったので、川の上流に流して下流で家臣達に分け与え
  たところ、家臣達は感激し、大いに士気が上がったという言い伝えがある。
  上に立つ者は、たった一言であれ情けのこもった言葉をかけてやるように努
  めるべし。

き 聞くことも又見ることも心がら 皆まよひなりみな悟りなり
  我々が見たり問いたりすることはすべて己の心の持ちようで、みな迷いとも
  なり悟りともなる。

ゆ 弓を得て失ふことも大将の 心一つの手をばはなれず
  組織の結束力をまとめるのも、失うのもすべて大将の心一つにあることを忘
  れてはならない。

め めぐりでは我が身にこそは事へけれ 先祖のまつり忠孝の道
  先祖を祀ることや、忠孝の道につくすということはやがて自分にめぐりめぐ
  っ てくるものである。おろそかにしてはならない。

み 道にただ身をば捨てむと思ひとれ かならず天のたすけあるべし
  正しい道のためには命を捨てる覚悟で事にあたれ。必ずや天の助けがあるで
  あろう。

し 舌だにも菌のこはぎをば知るものを 人は心のなからましやは
  舌でさえも歯の固さことを知っているのに、人は心というものがある以上相
  手の心を思いやる気持ちがなくてはどうなろうか。そのようなことは人の
   に反することである。
 
ゑ 酢へる世をさましもやらで さかづさに 無明の酒をかさぬるは憂し
      あたかも酔った人のごとくふらふらした今の世を、まともに立て直す努力も
       せずに、ただいたずらに酒の力を借りて大言壮語したり国を憂えたりする
       こ とば情けないことである。

ひ ひとり身をあはれと恩へ 物ごとに 民にはゆるすこころあるべし
      独り身の者、お年寄りなどに対してのいたわりの気持ちを忘れずにいなさ
      い。
      また民には寛大なる心で接しなさい。

も  もろもろの国や所の政道は 人に先づよく教へ留はせ
     いろいろな国や町の政治、法律や政令というものは、まずその民衆に教え聞
     かせ、理解してもらってから効果を期待すべきである。その努力をせずして
     法の下に処罰したりしてはならない。

せ 善に移り過れるをば改めよ 義不義は生まれつかぬものなり
      善行に立ち返って過ちがあったならすぐに改めなさい。義も不義も人間の生
      まれつきのものではない。

す 少しぎを足れりとも知れ 満ちぬれば 月もほどなく 十六夜のそら
      少し足りないぐらいを満足とすべし。月も満月からは欠けてゆき、十六夜の
      月となってしまうものである。

『薩摩のキセキ』 (総合法令出版株式会社)巻末資料より抜粋